コイルカー用リフトテーブル徹底解説

 

コイルカ―とは

コイルカーとは、金属、紙、フィルムなどをロール状に巻いた「コイル」を運搬するための特殊な台車です。具体的には、トラックからコイルを荷下ろしして保管場所(コイルヤード)へ移動させたり、コイルヤードからアンコイラー(※)などの加工装置へコイルを供給する際に使用されます。

※アンコイラーとは、ロール状に巻かれた材料(コイル)を解きほぐしながら、次のプレス、切断、レベリングといった加工工程へスムーズに送り出すための機械です。

 

コイルカ―にリフトテーブルを使用する目的

コイルカーにリフトテーブルを搭載する主な目的は、コイルの正確な昇降動作を実現することにあります。コイルヤードからコイルをアンコイラーまで搬送した後、アンコイラーのスピンドル軸へコイルを装着(供給)したり、加工後のコイルを着脱(排出)したりする際には、コイルを上下方向に昇降させる動作が不可欠です。この一連の昇降作業を、リフトテーブルが担います。

 

コイルカ―にリフトテーブルを使用するメリット

コイルカーにリフトテーブルを導入することで、以下のような多岐にわたるメリットが得られます。

◆幅広いサイズのコイルへの対応
スリット加工された狭いコイルから、大型のコイルまで、また軽量なものから重量のあるものまで、幅広いサイズや重量のコイルに柔軟に対応できます。これにより、多様な製品の製造ラインで活用が可能です。

◆スムーズな動作と高精度な位置決め
油圧式を採用することで、昇降速度の細やかな制御が可能となり、スムーズな昇降動作を実現します。これにより、コイルをアンコイラーの軸に合わせる際の位置決め精度が格段に向上し、作業時のストレスを大幅に軽減します。

◆作業効率の向上
コイルの搬送から昇降作業までの一連のプロセスを自動化することで、作業効率が飛躍的に向上します。これにより、人手による作業負担が軽減され、生産ライン全体のスループット(処理能力)を高めることができます。

コイルカ―が使用される主な業種

コイルカーは、その汎用性の高さから、多種多様な産業分野で必要不可欠な存在として広く活躍しています。

金属加工業

自動車のボディや、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品の外板や内部部品は、多くがプレス加工によって製造されます。これらの工程ではコイル材が使用されるため、アンコイラーが多数導入されており、それに伴いコイルカーも広く使用されています。

製紙およびフィルム加工業(製紙・繊維・化学など)

原材料となる母材の製造工程では、できあがった様々な原反(げんたん:巻かれた状態の材料)を製造装置から安全に着脱・搬出するためにコイルカーが使用されます。また、逆に、製造された母材原反をスリッター加工(切断)する場合は、原反をアンコイラーに供給・装着するためにコイルカーが不可欠となります。

印刷業(新聞・商業印刷など)

新聞印刷や商業印刷においては、原反である紙コイルを印刷機械に効率的かつ正確に供給・装着するために、コイルカーが重要な役割を果たしています。

 

コイルカ―の主な構成要素

コイルカーは、安全かつ効率的なコイル搬送・昇降を実現するために、複数の主要な構成要素から成り立っています。

Vスキッド(テーブル)

コイルを載せる部分を「Vスキッド」と呼びます。コイルの搬送中に安定性を確保するため、一般的にテーブルの上面はV字形になっています。また、大切なコイルを傷つけないよう、コイルが直接触れる設置面にはMCナイロンやゴム板などの保護材が貼られます。

安全対策装置

搬送中のコイルの転倒を防ぐための「転倒防止用ストッパー」や、アンコイラー装置との正確な連携のためにコイルの有無を感知する「在荷センサー」が設けられることがあります。これらの安全装置は、作業の安全性を高める上で非常に重要です。

積載したコイルを上下に昇降させるために、リフ

リフトテーブル(昇降装置)

トテーブルが使用されます。油圧ユニットは通常、スペース効率を考慮して台車内部に内装されることが多いですが、内装が難しい場合は走行台車上に搭載されます。リフトテーブルのアーム部への挟み込み事故を防止するため、パンタグラフの周囲4面に「ジャバラ」を取り付けることも可能ですが、これは寸法上の制限がある場合があります。

自走式走行台車

リフトテーブルを搭載し、前後に自走する機能を持つ台車です。一般的には、専用の走行レール上を鉄車輪で走行します。駆動にはギアモーターが用いられ、駆動車輪軸を回転させることで台車を走行させます。モーターの回転数を制御することで、走行速度を自由に調整することも可能です。さらに、走行中の安全を確保するために、回転灯や音声による警報、そして万が一の接触時に台車を緊急停止させる「バンパースイッチ」などの安全対策も講じられています。

 

 

>>コイルカ― 製作事例①をご紹介解説!

 

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