リフトテーブルを台車仕様にすることは可能?移動式で作業効率を飛躍的に向上!
リフトテーブルを台車仕様にするメリット
台車仕様のリフトテーブルは一般的な固定式のリフトテーブルとは異なり、キャスターや車輪を備えているため、設置場所を選ばず、必要に応じて任意の作業場所へと容易に移動させることができます。この移動性の高さにより、作業スペースを効率的に活用することができるほか、現場のレイアウト変更へも柔軟に対応することが可能となり、作業動線の最適化や生産性の向上にも大きく寄与します。また、リフトテーブルを台車仕様にすることで、重量物の運搬機能も備えることとなり、工場や倉庫、製造現場など、様々な業種・用途の現場において、作業効率を飛躍的に向上させることが可能です。自動車工場、製造ライン、物流倉庫、大型機械の組み立て工程など、重量のある部品のピッキング作業や高所への部材取付作業など、実際に多くの企業で台車仕様のリフトテーブルが導入されています。
リフトテーブルを台車仕様にする際の注意点
台車仕様にした場合のリフトテーブルの構造
リフトテーブルを台車仕様にする場合、昇降機構と移動機構を組み合わせた構造となります。昇降機構には、主に油圧式、電動式、手動式の3種類があります。
油圧式リフトテーブル
油圧シリンダーと電動油圧ユニットを用いて昇降します。油圧式の最大の特長としては、比較的コンパクトな装置構成でありながらも、大きな力を効率的に生み出すことができる点が挙げられます。そのため、特に重いワークの昇降を必要とする用途に適しており、工場や物流倉庫、建設現場など、さまざまな産業分野で幅広く活用されています。オプションを追加することで、安全性や操作性に優れた性能を安定して発揮することが可能です。
電動式リフトテーブル
電動シリンダーやボールねじ機構といった電動アクチュエーターを用いて昇降します。これらの機構は電動モーターによって駆動するため、油圧式と比べて作動時の静音性が優れている点が特徴です。昇降動作の精度が高く、繊細な位置決めや自然降下がない点などもメリットとなります。ただし油圧式と比較すると出力に限界があり、一度に昇降できる重量に制限があるため、重量物の昇降には不向きな場合もあります。
手動式リフトテーブル
ボールねじなどの機械的な回転運動を直線運動に変換する機構を活用し、手動ハンドルを回すことで昇降動作を行います。電源が不要なため、電力供給が困難な場所でも使用できるというメリットがあります。ただし手動操作であるため、一度に昇降できる重量には制限があり、重いワークの頻繁な昇降には向いていません。なお、手動ポンプや足踏みポンプを用いた手動油圧式の製品も存在し、これらのタイプは比較的重いワークの昇降も可能となります。
積載荷重:300kg以上でも台車仕様の製作は可能か?
リフトテーブルの台車仕様は、300kg以上の積載荷重にも対応可能です。油圧式や電動式の昇降機構のリフトテーブルをベースに、重量物の運搬に適した高耐久の台車機構およびフレーム構造を組み合わせることで、重量物の運搬・昇降を安全かつ効率的に行うことが可能です。一方で、このような重荷重に対応する仕様のリフトテーブルは、構造自体が頑丈かつ大きくなるため、必然的に本体の重量も増加します。その結果、作業者が人力だけでリフトテーブルを押して移動することが困難になる場合があります。このような場合は、牽引装置や電動駆動式のアシスト機構などを搭載することで、スムーズな移動が可能となり、作業負担の軽減と作業効率の向上が期待できます。
リフトテーブル台車仕様の選び方とポイント
台車仕様のリフトテーブルを選定する際には、使用環境や目的に応じたさまざまな要素を考慮する必要があります。以下の各項目を十分に検討し、最適な製品を選ぶことが、安全かつ効率的な運用につながります。
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積載荷重:積載するワークや荷物の重量に見合った耐荷重性能を持つリフトテーブルを選定することが基本となります。過負荷は故障や事故の原因となるため、余裕を持った荷重設定が望まれます。
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昇降高さ:作業内容に応じて、必要な昇降範囲を満たせる製品を選ぶことが重要です。
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移動距離と頻度:リフトテーブルをどの程度の距離・頻度で移動させるかによって、適切な車輪(キャスター)の材質やサイズ、さらにはブレーキ性能の仕様を検討することが求められます。
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作業場所の床面の状態:床面に段差がある、凹凸が多い、素材が滑りやすいなど、現場の床面状況によって、最適な車輪の種類が変わってきます。安全性やスムーズな移動のためにも、床材との相性を重視する必要があります。
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安全機能:作業中の転倒や暴走を防ぐためには、ブレーキ機構や、転倒防止のためのアウトリガーなど、安全機能の充実が欠かせません。
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操作性:作業の快適性と効率を高めるために、手押し用のハンドルや牽引用の装置など、用途に応じた操作補助機能やオプションの選定も大切です。
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駆動方式:油圧式・電動式・手動式など、使用環境や必要な昇降性能に応じて最適な駆動方式を選びましょう。それぞれにメリット・デメリットがあるため、作業内容と運用条件に合わせた判断が必要です。
まとめ
台車仕様のリフトテーブルは、複数作業場で共用でき、コストダウンや作業効率アップに大きく貢献する製品です。リフトテーブル ソリューションナビを運営する株式会社河原は、カスタマイズ・特注リフトテーブルの開発を得意としています。標準機では対応できない仕様で、特注のリフトテーブルの製作委託先をお探しの皆様、ぜひお気軽に当社にご相談ください。
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